物語を書き、
千年を生きる
中宮彰子の女房として、一条天皇の御代を生きたお方。『源氏物語』五十四帖、『紫式部日記』が今に伝わる。
学問の家に生まれて
越後守・藤原為時の娘として生まれる。父が弟・惟規に漢籍を教えるのを傍らで聞き、いつしか弟より早く覚えてしまった。父は嘆いた ―「この子が男であったなら」。女が学問をする時代ではなかった。それでも、文字を綴ることをやめなかった。
中宮彰子に出仕
夫・藤原宣孝を疫病で亡くし、一人娘・賢子を抱えて出仕。中宮彰子のもとで、御物語を書き始める。光源氏という、誰でもない誰かの物語。それは慰めのためであり、嫉妬のためであり、世のすべての女房たちの代弁でもあった。
千年を越えて
『源氏物語』五十四帖。光源氏の栄華と凋落、紫の上の哀しみ、宇治十帖の無常。書き終えたとき、紫式部はおそらく四十前後だったろう。その物語は千年の時を越え、世界中の読者の心に、なお生き続けている。書くこととは、永遠を彫ること。あのお方は、それを知っていた。