脱藩し、海を渡り、
時代を変えた男
1836年、土佐に生まれ、1867年、京・近江屋に倒れた。三十一年の生涯で、日本という船を、新しい海へ漕ぎ出した男の記録。
土佐の郷士、脱藩
土佐の郷士・坂本家に生まれた竜馬。藩内では身分が低く、剣に明け暮れる日々。江戸へ出て北辰一刀流を修めるうち、黒船が浦賀に現れ、世界が動き始めていることを知る。文久二年、二十八歳。脱藩 ― 死罪覚悟で藩を捨て、自由の海に漕ぎ出した。
海援隊と薩長同盟
勝海舟に学び、神戸海軍操練所に入った竜馬は、やがて長崎で「亀山社中」(後の海援隊)を組織。商売と海運、そして政治。犬猿の仲だった薩摩と長州 ― その同盟を、ただ一人の脱藩浪士が仲介した。武器も金もない男が、時代の歯車を動かしてしまった。
近江屋の夜
慶応三年十一月十五日、京都・河原町近江屋。船中八策を起草し、大政奉還の絵を描き終えた直後の夜。賊が踏み込み、竜馬は中岡慎太郎と共に斬られた。享年三十一。新しい時代の幕が開く、ほんの一歩手前で。だがその構想は、明治という大波になって、日本に押し寄せた。